− 夏色模様 −





この人は――― コワイ人。

手に入れたいモノは、絶対に手に入れるタイプだ。



「愛川先輩、木下先輩ばっかり気にしているようだけど……。 自分たちの方はどうなんですか?」


「――― えっ?」


あたし、たち?

あたしと桐谷が……。 どうなの?


あたしたちに得に変わったことは無いはずだけど。


「二人って、付き合い始めて、1年くらいですよね?」


「そう、だけど……。 それが、なに?」


「名前」


――― 名前?

名前って、なに?


「いつまで桐谷先輩が“愛川”って呼ぶんですか?」


「――― ッッ」


追い撃ちをかけるように、西村くんはまだ続ける。


「普通、恋人同士になったらお互いを名前で呼び合うのが普通何じゃないですか?」


桐谷はいつも、あたしを“――― 愛川”

そう呼ぶ。

それを、今まで不思議に思ったことは無い。