バケルト

「うん、千夏も一緒に帰るから」とキシノが千夏に目を向ける

日向が椅子から立ち上がる

「じゃぁ。よろしくお願いしますねぇ」

階段を降りて三人とも下駄箱に上履きを入れる

「あの~日向くんって呼んでいい?」と千夏が季節はずれの紅葉に染まりながら言う

「いいんですよ」と千夏を見る

「じゃぁ私は日向でいい?」と日向を見る

「はい。いいんですよ」と日向が笑顔で答える

「えぇキシノちゃん。ずるいよ」と千夏が小さな声で言う

「んっ。良いじゃんだって日向がいいって言ってたし」とキシノが笑顔で言う


学校から出ると長い桜並木を続く


「日向くんは何でこの高校に来たの?」と千夏が尋ねる

「え~とですね」と日向が困った顔になった

プルプルと携帯電話が鳴ると千夏が不機嫌そうに電話を出る「うんうんうんわかった。すぐに帰る」携帯を切ると「ごめん今日は早く帰らないといけないみたい。日向くん。ごめん私、家こちだからバイバイ」とキシノと日向を見て手を振る

「ちょちょっとあぁ行っちゃった」とキシノが日向を見る

「アンタ、家はどこ」とキシノが言う

日向がポケットから地図の書いた紙をキシノに渡すとキシノがその紙を見ると“あぁ”と小さくつぶやく