空兎にしてみれば、朝のホームルームは昼食に何を奢ってもらおうかとあれこれ妄想しているうちに終わり、余裕だった。

 そして訪れた一限目。

 一限目の現国はそのメニューをカレーライスと肉うどんにしようと決めて、その味を脳内で堪能しつつ、漢字の小テストをやり遂げた。ちなみに点数は50点満点の15点だった。

 その結果に落ち込んでしまったせいか、少しばかり眠気が増してしまった。


 二限目の日本史は弥生時代に稲作が始まったのを聞いて、当時の食生活はどうなものなんだろうと、あれこれ妄想し、眠くなる長々しい日本史担当教師の説明話を乗り越えた。

 少し危なかったが、テーマが「稲作」だったのが幸いした。
 これが年号を覚えるとかならば、空兎としては危なかった。

 だが、次の三限目で空兎は最大の山場を迎える。

 三限目の数学は、空兎が最も苦手とする教科で、半分目を閉じかけた。
羅列する数字や公式。

 空兎は、それらをもう見ないこととして肉うどんにかける七味唐辛子をカレーにかけて、辛さを強引に引き上げた味を脳内で再現、妄想することで眠気を堪えた。

 四限目の美術は二人一組となり互いの肖像画を書くことになり、とりあえず仙太がきつねうどんを啜っている絵を見事に描いた。

美術担当教師はその絵に甚く感動したが、仙太は呆れた。
 この時間を機にメニューの肉うどんはきつねうどんに変更された。

 そしてついに空兎が待ち焦がれた昼休み。

 四限目の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴ると同時に空兎は仙太の首根っ子をまた掴んで引き摺りながら食堂へと爆走した。