青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

「お前、俺を殺す気か!?」

「クヲンさんならこれくらい大丈夫です。自分を信じてください」

「どういう理屈だよ、それは……」

 相変わらず独特な世界観を持っているマリィに、クヲンは肩を落とす。それから溜息を一つ漏らすと、「変わらないな」と呟く。

「クヲンさんもですね」

 そうマリィが返してきたことに、クヲンは驚いた。

「俺も?」

 思わず聞き返すクヲンにマリィはにっこりと頷いた。

「私のせいで翼の色は変わっちゃいましたけど、クヲンさん自身は全然変わってませんよ」

「………」

 マリィの言葉が重く、クヲンの胸に響いた。

 だが、クヲンはそれを否定しなければならない。

「俺はな、変わらなきゃならないんだよ……」

 嘆くように言い、悲しい瞳でマリィを見つめる。

 そうだ、変わらなきゃならない。

 迷いを抱えたまま、躊躇っている今のままでは本当に叶えたい“奇跡”には届かない。

 もう、賽は投げられたのだ。引き返すことはできない。

「何故ですか? 優しいクヲンさんはダメですか?」

「……あぁ」

 そう、もう優しさなんてものを捨てなければ自分が保てない。さもないと、あの時、あの屋上で流した彼女の涙すら無駄になってしまうかもしれない。


 紆余曲折はあったとはいえ、“ここまではクヲン自身の計画通り”なのである。