青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

「……あなたが僕をどう思うと、それは構いません」

 緊張感が溢れる中でジョーの声は非常に落ち着いていた。それは余裕からではなく、どこか自分の中で悟っているという感じだ。

「けど、だからこそ……繰り返したくないかもしれません。妹を助けられなかったことが過ちならば、もう二度と!」

 例えそれが、血が繋がっていない他人であろうとも自分の手で守れるのならば。

 それは、ジョーが自らに課したヒーローとしての覚悟。

 そのために彼は守り続けることを選んだ。

「詭弁をほざいてんじゃねぇ! テメェもヒーローである前に一人の人間だろうが! その偽善の仮面を剥いで、本性を晒してみろよ!」

「それでも僕は!」

 ジョーが力の限り叫んだと同時に、灰山の体が浮く。マウントポジションをとっているはずの灰山が完全に押し返された。

「ヒーローでありたい!」

 灰山を掴んでいたジョーの手が離れる。そして、その一つが拳の形を作り、灰山のみぞおちに叩き込まれる。


 まるで、鉄の塊を握った拳で殴られたような重い一撃。


 灰山の手からナイフがするりと落ちた。

「テ、メェ……」

 倒れこみそうになる体を耐えながら、灰山はジョーを睨み上げる。前髪に隠れてジョーの目は見えないが、視線は若干下向きだった。

 程なくして、灰山の足が痙攣し始める。いよいよ倒れる寸前になったところでジョーがそれを支えた。

 灰山にとって、それは屈辱でしかない。