青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 眼前に迫るところでそれは制止する。ジョーが灰山の腕をがっしりと掴んで止めたからだ。

 だが、その刃はいつジョーの顔に刺さってもおかしくないほど怪しく震えている。

「これで勝ったつもりかよ!」

 灰山が吼えた。

「まだやるつもりですか?」

「俺はまだ死んじゃいないからなぁ!」

 灰山の表情は鬼気迫っていた。まるでこの世の全てを憎んでいるような、憎悪に満ちた目。

 気の弱い者ならばその目だけで気を失いそうなほどの迫力が今の灰山にはあった。

 それに心砕かれそうになりながらも、ジョーはその目を真っ向から受け止める。


 永遠にも続くかと思われるこう着状態が生まれた。


 だが、実際に永遠はあり得ない。

 頭に血が昇ってもどこか冷静なのか、体力的に不利と判断した灰山が自らこう着状態を崩した。

 力ずくでジョーへ体当たりを試みる。両腕をガッチリと掴まれているため、かなり痛んだが、灰山はそれを乗り越える憎悪で圧倒した。

 ジョーの体が揺らぎ、そのまま仰向けへと倒れる。灰山が完全にマウントポジションをとった。

 灰山のナイフとジョーの眼前との距離がさらに狭まった。

「どうしたぁ!? 反撃しないのか? まぁ、その方が都合がいいけどよぉぉ!!」

 耳をつんざく咆哮に、ジョーは苦い表情となる。頭の中では、いかにして相手を傷つけず無力化することで一杯だ。

 そんな考えを見透かすように、灰山は感情の赴くままに吼える。