青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 刹那、ジョーが身を隠していた木の幹が銃弾によって抉られる。丁度、ジョーの横顔当たりだ。さすがのジョーもゾッとして、思わず身をすくめた。

 それから、ワンテンポ遅れて立て続けに五発の銃弾が撃ち込まれる。それは的確に、丁度、木に横一文字になるように当たっていた。

 ジョーが灰山の狙いに気づいた時には、先ほどまで自分を守っていた木が自分に襲い掛かってきた。

「!!」

 考えるよりも早く、危機感から体が勝手に動いていた。倒れる木よりも早くジョーは転がりながらその場から逃れる。

 そして、次の銃弾が飛ぶよりも先に別の木に身を隠す。

 そこで、森の奥から灰山の怒声が響いてきた。

「コソコソ逃げ回ってばっかりかぁ!?」

 猛獣が吼えるような声でも、本人の姿は見えない。それでもジョーは新しい木に身を潜めながら耳を頼りに声の方向へと目を凝らす。

 だが、その瞬間、飛んでくる銃弾でまた深く身を隠してしまう。

 突破口が見えない。このまま凌いで空兎が脱出するまでの時間を稼ぐという方法もあるが、フィールド内には他にも組織の人間が大勢いると考えられる。

 できれば灰山を無力化し、空兎たちの元へといち早く駆けつけて力になりたいというのがジョーの切なる願いだった。

「観念して出てきたらどうだぁ!? それとも丈夫なだけじゃ、変身できなきゃ俺に勝てないってか!?」

 灰山の挑発は続く。だが、それが通じるジョーではない。思考がマイペースなのだ。

(う~ん、どうやら向こうにはこちらの位置がわかっているみたいですね……)

 光の加減か、それとも相手は特別な装備をしているのか、目がとても良いのか。

 何にしても森に灰山を投げ込んで、追いかけた時には彼はすでに森の奥に姿を消していた。

 そこから始まった一方的な銃撃戦。

 ジョーは己の不利を悟った。

(多少、強引でも活路を見出すしかないですね)

 そう考えた瞬間、体は動いていた。隠れていた木を飛び出し、森を銃弾が飛んでくる方向の横軸に疾走する。