青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 しれっと告げるクヲンに、灰山は苛立って髪をガシガシと掻いた。

「てんめーって奴はぁ!」

「イライラするなって、どうせ逃げられたんだろ? “本”は? “鍵”は、とられたのか?」

「いや、それは大丈夫だ。けど、レンカは追跡部隊を編成している」

「大げさだねぇ……じゃ、オレは、オレでやらせてもらおうっかな」

 クヲンはそう言って、地上へと上がるエレベーターへと向かう。

 その道中で、背後の灰山が言い放つ。

「また単独行動を決め込む気か?」

「オレはその方が動きやすいんでね。まぁ、任せなよ」

「お前を信用しろってか? はっ、そいつは無理な相談だ。お前、嘘つきだからな」

「言ってろよ」

 クヲンはエレベーターへと乗り、地上へ昇った。


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 ───じぁあな


 プロペラ音に混ざって、空兎が聞いたクヲンの最後の言葉。

 その後、仙太と一緒に空からやって来た少女と何か話していたようだが、空兎には何も聞こえなかった。


 聞いている気力がなかった……


「クヲンくん………」

 一人、部屋のベッドでうつ伏せになる空兎。

 昨日、帰宅してからずっと空兎は部屋に籠りっぱなしだ。食事は仙太が作って、部屋の前に置いておいてはくれるが、一切摂っていない。

 それに加えて癒してくれるキィも、もういないので、空兎の気持ちは沈む一方だ。

「逢いたいよ……クヲンくん」

 そして色々話したい。

 屋上では混乱し過ぎて、体が震えて、何も話せなかったから……

 それが、すごく悔しかったから……


 でも───


 多分、実際に逢ったら、また体がすくんでしまう。

 頭が真っ白になって、何を話していいか、わからなくなってしまう。

 そうなってしまうのが分かるから、逢いたくても行動ができない。


 逢いたい、でも、怖い。


 矛盾する気持ちが空兎を苦しめていた。

(なんか………疲れちゃった)

 寝よう。

 そして楽しい夢を見よう。

 それが今、唯一自分を癒してくれる方法だ。


 そっと、目が閉じられる───


 楽しい夢が見れると、期待しながら───