青空、ハレの日☆奇跡の条件（加筆修正中）

　ピーーーーッ！


　と、やかんのお湯が沸騰する甲高い音が鳴り響いた。

「あ、お湯が沸きました！」

　マリィが台所へと走っていった。それに、とりあえず仙太は安堵した。


　仙太は今、気付いたが、この部屋はワンルームのため、ここからでも台所に立つマリィの後ろ姿が見えた。

　その背中に向けて、仙太は尋ねた。

「あの、あなたが手当てをしてくれたんですか？」

　マリィは振り返り、ニッコリ微笑んでから応えた。

「はい。以前、お世話になった病院で色々教えてもらいましたから」

　そう言って、また視線を前に戻す。どうやら何か調理をしているようだ。

　仙太は乱れた布団を掛け直す。そして、このワンルームのもう一度よく部屋を見回す。

　殺風景で、女の子が暮らす部屋とは思えない。


　女の子……


　仙太に新たな疑問が生まれた。

　彼女は、どうやって自分を運んだのだろう？

　見た目は、か弱く華奢なのに、自分を運べるほどの力が彼女にあるのだろうか？

「あの……他に誰かいるんですか？」

「いえ、私とあなただけですよ」

　調理を続けながらマリィは応えた。第三者が他にいるという線はこれで消えた。

(あの場に他に誰かいて、その人に手伝ってもらったとか………う〜ん……)

　いちいち考えるのが面倒になってきた仙太は、回りくどい質問は止めにして、単刀直入に尋ねた。

「あの、僕をここへ運んできたのって───」

「できましたぁ！ 召し上がってください！」

　マリィが仙太の言葉を遮ると、料理を完成させて、仙太の前へと持ってきた。

「ど、どうも………」

　いきなりドーンと茶碗や皿を並べられたトレイを目の前に突きつけられた勢いで仙太は返事をしてしまい、質問をし損ねてしまった。

　仕方なく、手前に置いてあるスプーンを溜め息をつきながら手にするが、メニューを見て、仙太は唖然とする。