青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

「あ、あの………ズボンは?」

「あ、ちゃんとここにありますよ」

 マリィはニコニコしながら、キチンと折り畳まれた制服のズボンを仙太の前に差し出す。

 仙太はそれを素早く受け取ると、布団の中で慌ただしく履いていく。足にペタペタ貼ってある絆創膏や湿布が剥がれそうで、傷口が傷んだが、恥ずかしさのほうが何倍も勝っていた。

 大きく溜め息を一度ついてからマリィの方を見る。

 改めてみると、不思議な感じがする少女だと仙太は思った。

 肩下まで伸びた艶やかな黒髪は、思わず目を奪われる。なのに肌はその髪や全身の服を際立たせるように白い。

 空兎が元気溢れる健康的美人ならば、マリィと名乗った目の前の少女は、おしとやかなお嬢様的美人とでも例えるべきだろうか、同じ美人でも全く対照的なタイプだといえる。

「あのぉー、私の顔、何か変ですか?」

「あ、すみません……」

 いつの間にかマリィに見とれていた仙太が、また顔を赤くして逸らす。

「変なんですね……」

 急にマリィがしゅんと、肩を落とした。どうやら先程の仙太の言葉をそのままの意味でまともに受け止めたようだ。

 急変したマリィの様子に、仙太は動揺する。

「あ、いや! そういう意味じゃなくて!」

「いいんです……どうせ、トジでノロマでスカポンタンなんです」

「いや、その流れでスカポンタンはおかしいですよ! てか、その……全然、変じゃないですから!むしろ、可愛いですよ!」

「え?」

「あ……」

 うっかり本音を洩らして、仙太は本日三度目の赤面顔で硬直する。

 マリィの方は『可愛い』という部分が聞こえてないか、それともその意味がわかっていないような、ほわんした表情をしている。

 マリィは、その表情のまま、仙太にグイッと顔を近づける。

「な、なんですか?」

 マリィに迫られ、仙太は動揺しながら退くが、すぐに壁にあたり逃げ場を失う。そんな仙太に構わず、興味津々という感じにマリィがしばらく見つめ続けていると………