青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 バスで駅まで行く。

 日曜日の昼過ぎは人が少ないのだろうか、ガラガラだった。

 一番後ろの席に仙太と空兎は座る。


 会話は───ない。


 何か話さなきゃとは思っても、お互い何だか気恥ずかしくて口が開けない。

 従兄弟同士と言われも、初めて出会った年頃の男女だ。

 住んでる場所も、学校も、当たり前だが性別も違う。

 何を話していいかわからないのだ。

 二人とも性格的でいえば比較的、内向的にあたる部類だが、根暗というわけではない。

 きっかけがあれば話せるのだ。


 何か一つ、きっかけが───


 あれよあれよと、お互いがもたついている間にバスは、駅に到着してしまった。

 二人は運賃を払い、無言のままバスを降りた。


 …………………
 ……………
 ………


 次に目覚め時、自分は寝かされているのだと、仙太はすぐに認識できた。

 体の痛みは、先よりは幾分、治まっている。心配していた骨折はしていないようだ。動かそうと思えば動かせると、感覚でわかる。

 ぼやけた目が見知らぬ灰色の天井を映しだした。

「ここ……は?」

「私の部屋です」

 すぐ耳元で聞こえるおっとりとした声。声色のせいか、それで驚くことはなかったが、声の方向へと振り向いて、少女のドアップ顔を眼前に捉え、仙太は思わず飛び上がってしまった。

「うわわっっ!! あつっいたたた!!」

「まぁ、おもしろい鳴き声ですね? なんの動物の鳴き声なんですか?」

「いや、鳴き声って……はぁ」

「?」

 起き上がった拍子に体中の痛みに悶える仙太を、少女───マリィは常識はずれの返しをしてきたために、仙太は、突っ込みどころに困ってしまった。

 先のボケはとりあえず置いて、仙太は気を取り直して、飛び上がった弾みで起きた自らの上半身を確認する。

 包帯や湿布、絆創膏など、あちこち巻かれたり、貼られたりして手当てされていた。

 掛けられている布団を捲って───仙太は赤面する。