青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

(あれ? これって、夢か………)

 淡い記憶の光景がグニャリと歪んで闇に染まっていく。

 五感が徐々に戻ってきて、まず最初に飛び込んできたのは痛覚だった。

「っあ!」

 全身に走った。動けない。

(もしかして……骨とか折れてるかも……)

 ぼやけていた視界がだんだんとはっきりとしてくる。公園の地面だった。

 人気がいない。先程の黒服達すらもいないようだ。

(落ちて、運良く死ななくても、誰も通りかからなかったら死ぬかも……)

 そうなったら落ちて死んだ方がよかったかなと思いながら、仙太は目を閉じた。

 すぐにやってきた眠気が、夢の続きを見せてくれると思い込んだその矢先、砂地を踏む音が仙太の鼓膜を微かに震わせた。

 人が通りかかったと、夢と現の狭間で認識できたが、確かめる力が残ってなかったので、気のせいと勝手に思い込んで捨て置く。

「あのー、大丈夫ですかぁ?」

 おっとりした女性の声、少女と言ってもいい若い確かな声。

 仙太は、ありったけの力を振り絞り、目を開けた。

 ぼやけた視界に飛び込んできたのは、頭のてっぺんから、足の先まで墨を落としたような少女。

「あ、あなたは……?」

 仙太が尋ねると、少女は口元に笑みを作って応えた。

「マリィといいます」

「マリィ……さん?」

「はい! あ、お腹空いてるのでしたら……」

 買い物帰りなのだろうか、買い物バックから少女───マリィは、ゴソゴソと何かを探る。

 そして、目的のモノを見つけると、それを仙太の口元へと差し出した。

「どうぞ!」

「こ、コッペパン……?」

 意外なものを差し出され、仙太は戸惑うと同時に、意識が遠のいた。


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