クヲンは、ゆっくりと唇を離すと、微笑を浮かべて告げた。
「待ってて欲しいんだよ、俺、弱虫だから。いいか?」
「う、うん………」
見開いた目をそのままに空兎は返事をすると、クヲンはその髪を優しく数回撫でる。
それから、ベランダに出て天使の翼を背に生やし、飛び去った。
その姿を見送った後、窓を閉めて、それからカーテンまでしめると、真っ直ぐ洗面台へと駆けていった。
鏡の前に並べてある泊まり込み用に持ち込んだ自分のコップに水を入れ、それでうがいをする。
コップの水がなくなっては、入れて、うがいを何度も繰り返す。
何度繰り返したか、自分ではわからないが、ようやく自分の中で許せるか、繰り返しても無駄だとわかったかのどちらかで、空兎は蛇口を止め、コップを元の場所へと置いた。
そして、洗面台の下の棚に背を預けるようにして、その場に崩れ落ちる。
「サイテーだ………アタシ」
自嘲的に空兎は、自らの顔を両手を覆う。
そこへ、「ウキュ!ウキュ!」とキィが体を跳ねさせながらやってきた。
「キィ……」
自嘲的な顔のまま、空兎の目がキィを捉える。相変わらず何を考えているかわからないが、呑気な愛くるしい顔が覗かせている。
「おいで……」
自らの顔を覆っていた両手をキィに差し出すと、キィがそれにジャンプして乗ってきた。
空兎は、キィを自分の目の前へと持っていく。
「ねぇ、キィ……ちょっとアタシの話を聞いてくれる?」
「ウキュ?」
「アタシね……さっきクヲンくんと……その、キス………したんだけどね……………その時さ、せっちんのこと、考えちゃったんだよね」
「ウキュ〜?」
「ひどいよね、アタシって……クヲンくんこと好きなのにさ……今は、せっちんのことしか、頭にないんだぁ」
「ウキュ〜〜」
「マジ………サイテーだよ」
ゴン、と空兎は、後頭部を強く棚に打ち付けた。
「待ってて欲しいんだよ、俺、弱虫だから。いいか?」
「う、うん………」
見開いた目をそのままに空兎は返事をすると、クヲンはその髪を優しく数回撫でる。
それから、ベランダに出て天使の翼を背に生やし、飛び去った。
その姿を見送った後、窓を閉めて、それからカーテンまでしめると、真っ直ぐ洗面台へと駆けていった。
鏡の前に並べてある泊まり込み用に持ち込んだ自分のコップに水を入れ、それでうがいをする。
コップの水がなくなっては、入れて、うがいを何度も繰り返す。
何度繰り返したか、自分ではわからないが、ようやく自分の中で許せるか、繰り返しても無駄だとわかったかのどちらかで、空兎は蛇口を止め、コップを元の場所へと置いた。
そして、洗面台の下の棚に背を預けるようにして、その場に崩れ落ちる。
「サイテーだ………アタシ」
自嘲的に空兎は、自らの顔を両手を覆う。
そこへ、「ウキュ!ウキュ!」とキィが体を跳ねさせながらやってきた。
「キィ……」
自嘲的な顔のまま、空兎の目がキィを捉える。相変わらず何を考えているかわからないが、呑気な愛くるしい顔が覗かせている。
「おいで……」
自らの顔を覆っていた両手をキィに差し出すと、キィがそれにジャンプして乗ってきた。
空兎は、キィを自分の目の前へと持っていく。
「ねぇ、キィ……ちょっとアタシの話を聞いてくれる?」
「ウキュ?」
「アタシね……さっきクヲンくんと……その、キス………したんだけどね……………その時さ、せっちんのこと、考えちゃったんだよね」
「ウキュ〜?」
「ひどいよね、アタシって……クヲンくんこと好きなのにさ……今は、せっちんのことしか、頭にないんだぁ」
「ウキュ〜〜」
「マジ………サイテーだよ」
ゴン、と空兎は、後頭部を強く棚に打ち付けた。



