目を赤く腫らした空兎を、クヲンはソファに腰掛けた状態で迎えた。
「どうだ?」
「うん………大丈夫」
何が「どうだ?」か、何が「大丈夫」か、それぞれに明確な意味はなかったのかもしれないが、二人の間はそれで通じ合っていた。
「そっか……」
とりあえず安心したようにクヲンが立ち上がると、窓を開けてベランダに出る。
「どこ行くの?」
空兎が尋ねると、クヲンが背を向けたまま答える。
「せっちを探しに行く」
「アタシも!」
「言うと思った……」
そこでクヲンは振り返り、空兎の両肩に手を掛ける。
「ダメだ! お前はここで待ってろ!」
「やだ!」
「俺を困らせんなよ!」
「困らせる!ゴメン!……でも、アタシ……!」
断固として引かない様子の空兎に、クヲンは大きな溜め息をついた。
空兎の肩から手を下ろし、ベランダから部屋に戻ると、電話が置いてある場所へと向かう。
登録してある番号にかけると、慣れた口調で話す。
「あ、白矢です。いつもお世話になっています。今日もハウスキーパーを頼みたいんですけど……はい、今すぐ…………よろしくお願いします」
それで電話を切ると、空兎へと振り反って告げる。
「じきにハウスキーパーが来る。その人にお前を見張らせる」
それを聞いて、空兎の目が見開いた。その目を──思わず逸らしたくなるその目をあえて受け止めて、穏やかに告げる。
「わかってくれ……ぶっちゃけ、今、俺……お前を守れる自信ないんだ……」
「………ゴメン、ついていっちゃ足手まといだよね」
肩を落として俯く空兎。
クヲンは、逡巡しながらゆっくりと空兎に近づき、彼女の両頬を持ち上げると───
「ん………」
保健室のときより少し深く、強い───かといって一歩奥に踏み切れない半端なキス───
それでも、空兎のさざ波立っていた心は次第に落ち着いていった。
「どうだ?」
「うん………大丈夫」
何が「どうだ?」か、何が「大丈夫」か、それぞれに明確な意味はなかったのかもしれないが、二人の間はそれで通じ合っていた。
「そっか……」
とりあえず安心したようにクヲンが立ち上がると、窓を開けてベランダに出る。
「どこ行くの?」
空兎が尋ねると、クヲンが背を向けたまま答える。
「せっちを探しに行く」
「アタシも!」
「言うと思った……」
そこでクヲンは振り返り、空兎の両肩に手を掛ける。
「ダメだ! お前はここで待ってろ!」
「やだ!」
「俺を困らせんなよ!」
「困らせる!ゴメン!……でも、アタシ……!」
断固として引かない様子の空兎に、クヲンは大きな溜め息をついた。
空兎の肩から手を下ろし、ベランダから部屋に戻ると、電話が置いてある場所へと向かう。
登録してある番号にかけると、慣れた口調で話す。
「あ、白矢です。いつもお世話になっています。今日もハウスキーパーを頼みたいんですけど……はい、今すぐ…………よろしくお願いします」
それで電話を切ると、空兎へと振り反って告げる。
「じきにハウスキーパーが来る。その人にお前を見張らせる」
それを聞いて、空兎の目が見開いた。その目を──思わず逸らしたくなるその目をあえて受け止めて、穏やかに告げる。
「わかってくれ……ぶっちゃけ、今、俺……お前を守れる自信ないんだ……」
「………ゴメン、ついていっちゃ足手まといだよね」
肩を落として俯く空兎。
クヲンは、逡巡しながらゆっくりと空兎に近づき、彼女の両頬を持ち上げると───
「ん………」
保健室のときより少し深く、強い───かといって一歩奥に踏み切れない半端なキス───
それでも、空兎のさざ波立っていた心は次第に落ち着いていった。



