「本日の授業終了っ! 今日も散策開始ーーっ!」
校門へと続く道を歩きながら、梅雨の厚い雲の合間から現れた陽の光を全身に浴びて、空兎は晴れやかな伸びをする。いつも以上にご機嫌なのは保健室での一件が起因しているのだろう。
一緒に歩いている仙太が見ていて恥ずかしくなるくらい、はしゃいでいる。
「良いことでもあったのかな?」
独り言のつもり言った仙太だったが、隣のクヲンが返してきた。
「さぁね?」
何か心当たりがあるような口振り。仙太の心の中で、またも靄が出てきた。
そんな折りに、空兎が仙太とクヲンに向けて、底抜けに明るい声をかけてくる。
「今日は何か見つかるといいねっ!」
「ウキュ♪」
鞄のキィがうっかり鳴いて、空兎が慌ててキィを隠して辺りを見回す。幸いなことにキィの鳴き声に気付いた人はいないようだ。ホッとひと安心する空兎。
その滑稽な様子を見て、クヲンが小さく笑った。そんなクヲンに、空兎から鞄が投げつけられる。
「笑うなぁぁぁぁっっ!!」
怒りの鞄投げ(キィ付き)を顔面に受けて、クヲンの笑いが止まる。
「ったく……ツッコミ、キツイよ!」
クヲンが鞄を投げ返すと、空兎が両手で受け止める。目は怒っているが、口元は少し笑みの形だった。
仙太は、二人の間に流れる空気が以前と少し違う気がした。
そして、それが気のせいであって欲しいと、心のどこかで願っていた。
三人は校門を抜けると、立ち止まって相談し始めた。
「今日はどっから行くよ? 昼休みはロクな作戦は立てらんなかったからな」
そうクヲンから切り出すと、「う〜ん」と空兎が考え込む。それから、何かを期待するようにチラチラと横目で仙太を伺う。魂胆が見え見えだった。
「空兎……僕に案を求めても無駄だと思うよ」
「なんでさ! せっちんは空兎の愉快な冒険隊の作戦参謀でしょ!」
「いつから決まったんだよ……」
「……………………………結成当初からよ!」
「その間は何だよ……」
矢継ぎ早に繰り出される二人の会話を聞きながら、クヲンは微笑を浮かべる。
校門へと続く道を歩きながら、梅雨の厚い雲の合間から現れた陽の光を全身に浴びて、空兎は晴れやかな伸びをする。いつも以上にご機嫌なのは保健室での一件が起因しているのだろう。
一緒に歩いている仙太が見ていて恥ずかしくなるくらい、はしゃいでいる。
「良いことでもあったのかな?」
独り言のつもり言った仙太だったが、隣のクヲンが返してきた。
「さぁね?」
何か心当たりがあるような口振り。仙太の心の中で、またも靄が出てきた。
そんな折りに、空兎が仙太とクヲンに向けて、底抜けに明るい声をかけてくる。
「今日は何か見つかるといいねっ!」
「ウキュ♪」
鞄のキィがうっかり鳴いて、空兎が慌ててキィを隠して辺りを見回す。幸いなことにキィの鳴き声に気付いた人はいないようだ。ホッとひと安心する空兎。
その滑稽な様子を見て、クヲンが小さく笑った。そんなクヲンに、空兎から鞄が投げつけられる。
「笑うなぁぁぁぁっっ!!」
怒りの鞄投げ(キィ付き)を顔面に受けて、クヲンの笑いが止まる。
「ったく……ツッコミ、キツイよ!」
クヲンが鞄を投げ返すと、空兎が両手で受け止める。目は怒っているが、口元は少し笑みの形だった。
仙太は、二人の間に流れる空気が以前と少し違う気がした。
そして、それが気のせいであって欲しいと、心のどこかで願っていた。
三人は校門を抜けると、立ち止まって相談し始めた。
「今日はどっから行くよ? 昼休みはロクな作戦は立てらんなかったからな」
そうクヲンから切り出すと、「う〜ん」と空兎が考え込む。それから、何かを期待するようにチラチラと横目で仙太を伺う。魂胆が見え見えだった。
「空兎……僕に案を求めても無駄だと思うよ」
「なんでさ! せっちんは空兎の愉快な冒険隊の作戦参謀でしょ!」
「いつから決まったんだよ……」
「……………………………結成当初からよ!」
「その間は何だよ……」
矢継ぎ早に繰り出される二人の会話を聞きながら、クヲンは微笑を浮かべる。



