必要以上に明るい蛍光灯の光。瞼の上からでも眩しく照りつけるその光が空兎を悪夢から救ってくれた。
ゆっくりと瞼を開くと、瞳が収縮する。声が聴こえてきた。
「お、気が付いた?」
「誰?」
仙太ではない。視界の横から入ってきたのは──
「ウキュ♪」
「キ……ィ?」
蒼くて丸い不思議生物に、空兎は目を丸くする。
直後にまた声が聴こえてくる。今度は、主の顔をと共にだ。
「大丈夫か? 空兎」
仙太のような柔和な顔立ちではなく、切れ長な顔立ちの銀髪天使──クヲンの顔がすぐ目の前に現れた。
「うわぁぁあああっっっ!!」
見慣れているとはいえ、いきなりのアップ顔は驚いたのか、空兎は飛び退く。直後、後方の壁に後頭部をぶつけ、痛みに踞る。
「うぅうぅぅ〜〜〜」
「おいおい、大丈夫かよ〜?」
クヲンは、苦笑しながら空兎が押さえている手を払って、痛がっている後頭部を撫でる。
空兎は、顔を紅くしながら俯いてしまった。
鼻腔をくすぐる消毒液の匂いと、自分が座っているベッドで、ここが保健室だということはすぐわかったが、なんとなく沈黙が気恥ずかしいので訊いた。
「ここ……どこ?」
「保健室。なんでここにいるかわかる?」
その質問に空兎は首を横に振った。撫でる手を引っ込めて、クヲンが経緯を説明する。
「いきなり走り出したお前が階段の下でぶっ倒れてたから、俺が保健室に運んだの。あ、せっちには五時間目の先生に上手く言ってもらうよう頼んでおいたぜ」
「そっか……じゃあ、早く行かないとね!」
慌ててベッドから降りようとする空兎の手を、クヲンが手を重ねてきて止める。
「まだ動かないほうがよくね? 何か悪い夢でも見てたようで、うなされてたぜ」
「……………」
空兎は、投げ出していた足をベッドに戻して、膝を抱える。
開いている窓から風が吹き抜け、ベッドのカーテンを静かに、ゆったりと揺らす。
コッチ、コッチと一秒ずつ時を刻む時計の音が耳に届く。ずっと聴いていると、それが悪夢への誘惑に思えてきて、空兎は口を開いた。
ゆっくりと瞼を開くと、瞳が収縮する。声が聴こえてきた。
「お、気が付いた?」
「誰?」
仙太ではない。視界の横から入ってきたのは──
「ウキュ♪」
「キ……ィ?」
蒼くて丸い不思議生物に、空兎は目を丸くする。
直後にまた声が聴こえてくる。今度は、主の顔をと共にだ。
「大丈夫か? 空兎」
仙太のような柔和な顔立ちではなく、切れ長な顔立ちの銀髪天使──クヲンの顔がすぐ目の前に現れた。
「うわぁぁあああっっっ!!」
見慣れているとはいえ、いきなりのアップ顔は驚いたのか、空兎は飛び退く。直後、後方の壁に後頭部をぶつけ、痛みに踞る。
「うぅうぅぅ〜〜〜」
「おいおい、大丈夫かよ〜?」
クヲンは、苦笑しながら空兎が押さえている手を払って、痛がっている後頭部を撫でる。
空兎は、顔を紅くしながら俯いてしまった。
鼻腔をくすぐる消毒液の匂いと、自分が座っているベッドで、ここが保健室だということはすぐわかったが、なんとなく沈黙が気恥ずかしいので訊いた。
「ここ……どこ?」
「保健室。なんでここにいるかわかる?」
その質問に空兎は首を横に振った。撫でる手を引っ込めて、クヲンが経緯を説明する。
「いきなり走り出したお前が階段の下でぶっ倒れてたから、俺が保健室に運んだの。あ、せっちには五時間目の先生に上手く言ってもらうよう頼んでおいたぜ」
「そっか……じゃあ、早く行かないとね!」
慌ててベッドから降りようとする空兎の手を、クヲンが手を重ねてきて止める。
「まだ動かないほうがよくね? 何か悪い夢でも見てたようで、うなされてたぜ」
「……………」
空兎は、投げ出していた足をベッドに戻して、膝を抱える。
開いている窓から風が吹き抜け、ベッドのカーテンを静かに、ゆったりと揺らす。
コッチ、コッチと一秒ずつ時を刻む時計の音が耳に届く。ずっと聴いていると、それが悪夢への誘惑に思えてきて、空兎は口を開いた。



