青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 いつ眠りについたのか、記憶にない。

 割れた皿を掃除して、後片付けを終えたまでは覚えている。

 倒れ込むように、ベッドにダイブして───

「………え?」

 深い、深い深淵の奥底に沈んでいた意識が急速に浮上し、仙太は覚醒する。

 夢すら見なかった睡眠は久しぶりのような気がしたが、目の前の光景を見て、そんなことを考える余裕は一瞬にして吹き飛んだ。

「うわあああああっっっ!!?」

 大絶叫と共に仙太は、ベッドから転げ落ちる。

 眼前であどけない寝顔を魅せている空兎を直視してしまったからだ。

 この部屋が完全防音壁でなければ、早朝の大声量は確実に苦情ものだっただろう。最もその大声量を一番近くで受けた空兎は、未だ安らかな寝息をたてている。

 その時、ベッドルームのドアが開き、クヲンが欠伸をしながら顔を出してきた。
「んだよ、朝っぱらから大声出して……ん?」

 クヲンは、目に飛び込んできた光景を見た後、パチパチと瞬きをし、無言でドアを閉めた。

「待てぇぇぇぇぇ!!」

 響き渡る仙太の絶叫を、クヲンはドア越しで、楽しそうに聞いていた。

 後でクヲンから話を聞いて仙太は知ったことだが、この部屋では来客用にベッドルームが二つあって、本来ならベッドが二つある来客用のベッドルームにクヲンと仙太が寝る予定だったのだが、疲れきっていた仙太が誤って、空兎が寝ていたベッドルームに入ってしまったために今朝のような出来事になったというわけだ。

 ちなみにクヲンは、知っていたが、あえて止めることはせずに放っておいたとのこと。

「………ひどい」

「まぁまぁ、せっちなら手ぇ出すなんて不埒なマネ出来ねぇと思ったからこそ放置プレイ出来たつーわけだ!」

 クヲンが作った朝食のフレンチトーストを食べながら仙太がぼやく。

「ん?ねぇ、さっきから何の話してんの?」

 何も知らない空兎だけが一人疑問符を浮かべていた。