「昨日、クヲンさんが出会った二人組の男の人というのは、多分ですけど……関係者じゃないでしょうか?……私の不幸のターゲットになった方の」
(随分と厄介なモンをターゲットにしてくれたぜ・・・・・・)
昨日出会ったその二人組の風貌を思い出しながら、クヲンは頭を抱えた。
(暴力団かマフィアか……どちらにしてもまともな道を歩んでいる方々には見えなかったよなぁ)
よりにもよってと、漏れる溜息。
だが、すぐに顔を上げてマリィの目を真っ直ぐに見つめる。
「……お前、まだそういうの続けたい?」
「え?」
「人間を不幸にし続けていきたいかって訊いてんの。あ、“教え”だからって答えはナシな。俺が訊いてんのは、お前自身なんだからよ」
言いながらマリィの胸の辺りを指差すクヲン。
「訊いてるのはお前の心なんだ!」とでも言いたげなクヲンの仕草に、マリィは戸惑いながら、
「わ、わかりません……」
と返すのが精一杯だった。
「だろうな」
クヲンは、軽く言ってはフレンチトーストをまた一口齧る。
たった一言二言の会話で覆る程“教え”は軽くないはずだ。
だからマリィの今の答えはベストといえる。
同じ立場ならば、自分もそう答えただろう。
「なら、お前も人間と付き合ってみろよ。……そして自分自身の心で正しい生き方ってやつを見つけて、楽しく生きてみなって!」
自分と同じように、と提案するクヲンの表情は実に活き活きとしていた。
それがあまりにも輝いていたのでマリィは一瞬驚いてしまったが、すぐに───そう、誘われるかのように自然と先程までの暗い気持ちが晴れて答えていた。
「はい!」
と。
おそらくこれが初めて見たお互いの本当の笑顔なのかもしれない。
そう、クヲンは心の中でそう思った。
§
本日は修了式ということで学校は午前中で終わる。
マリィがターゲットにしてしまった人間は、クヲンの天使の力で幸福にすることで解決してもらうこととなった。
「ま、許してくれるかはわかんねぇけどな……やらないよりかマシだろ」
朝食の後片付けをしながら何気に発したこの言葉がマリィには可笑しく感じたのか、クスリと小さく笑った。
(随分と厄介なモンをターゲットにしてくれたぜ・・・・・・)
昨日出会ったその二人組の風貌を思い出しながら、クヲンは頭を抱えた。
(暴力団かマフィアか……どちらにしてもまともな道を歩んでいる方々には見えなかったよなぁ)
よりにもよってと、漏れる溜息。
だが、すぐに顔を上げてマリィの目を真っ直ぐに見つめる。
「……お前、まだそういうの続けたい?」
「え?」
「人間を不幸にし続けていきたいかって訊いてんの。あ、“教え”だからって答えはナシな。俺が訊いてんのは、お前自身なんだからよ」
言いながらマリィの胸の辺りを指差すクヲン。
「訊いてるのはお前の心なんだ!」とでも言いたげなクヲンの仕草に、マリィは戸惑いながら、
「わ、わかりません……」
と返すのが精一杯だった。
「だろうな」
クヲンは、軽く言ってはフレンチトーストをまた一口齧る。
たった一言二言の会話で覆る程“教え”は軽くないはずだ。
だからマリィの今の答えはベストといえる。
同じ立場ならば、自分もそう答えただろう。
「なら、お前も人間と付き合ってみろよ。……そして自分自身の心で正しい生き方ってやつを見つけて、楽しく生きてみなって!」
自分と同じように、と提案するクヲンの表情は実に活き活きとしていた。
それがあまりにも輝いていたのでマリィは一瞬驚いてしまったが、すぐに───そう、誘われるかのように自然と先程までの暗い気持ちが晴れて答えていた。
「はい!」
と。
おそらくこれが初めて見たお互いの本当の笑顔なのかもしれない。
そう、クヲンは心の中でそう思った。
§
本日は修了式ということで学校は午前中で終わる。
マリィがターゲットにしてしまった人間は、クヲンの天使の力で幸福にすることで解決してもらうこととなった。
「ま、許してくれるかはわかんねぇけどな……やらないよりかマシだろ」
朝食の後片付けをしながら何気に発したこの言葉がマリィには可笑しく感じたのか、クスリと小さく笑った。



