丁度、口に入っていたものを飲み込んだところだったマリィは、その言葉にキョトンとする。
そんな彼女の様子を目の端で捉えつつもクヲンは続けた。
「天使の役目ってのは一人でも多くの人間を幸せにする……ってことなんだけどよ。俺、それがちょっと納得いかなくてさ。……なんで“人間”なんだろって……」
マリィは黙ったままだ。
何も考えてないようにも見えるが、次のクヲンの言葉を待っているかのようにも見える。
クヲンは、後者と解釈した。
「勿論、俺の偏見だけで判断するわけにはいかないからさ、だから少しでも人間のこと知ろうと思って、「白矢クヲン」って名乗って、今、中学校ってやつに通ってるが……」
クヲンがそこまで話すと、そこでマリィが口を開いた。
「くをん?」
一言そう呟き、そして目を輝かせた。
「あなたの名前、初めて聞きました……はくやくをんさん……良いお名前ですね」
「そ、そういや名乗ってなかったな……わりぃ。あ~正確には「クヲン」だけだ。この世界じゃ名字ってのが必要だからな」
「はい! クヲンさん! 私はマリィです!」
「いや、お前の名前は知ってるんだけどな……」
今にも身を乗り出さんばかりの勢いのマリィに気圧されて、クヲンは狼狽する。
しかし、疑問点が一つ芽生えた。
「お前、俺が天使とか言ってるけど疑わないわけ? つか、普通引くだろ?」
「そうなんですか?」
「……いや、いい。俺が悪かった」
相変わらずのマリィの調子に、クヲンは目を逸らした。
それから数秒、沈黙で時が流れ、今度はマリィが口を開いた。
いつものようなおっとりとした口調には変わらないが、どこか懺悔を聞いている感じにクヲンは聞こえた。
「実は……私、悪魔なんです」
逸らした目が自然と元に戻る。
クヲンの瞳には、正座をするマリィの清楚で可憐な姿が映し出されていた。
「悪魔の役目は一人でも多くの人間を不幸にすること……。私はその教えに従って多くの人間を不幸にしてきました……」
天使であるクヲンとは正反対の行い。マリィの懺悔にも似た告白は続く。
そんな彼女の様子を目の端で捉えつつもクヲンは続けた。
「天使の役目ってのは一人でも多くの人間を幸せにする……ってことなんだけどよ。俺、それがちょっと納得いかなくてさ。……なんで“人間”なんだろって……」
マリィは黙ったままだ。
何も考えてないようにも見えるが、次のクヲンの言葉を待っているかのようにも見える。
クヲンは、後者と解釈した。
「勿論、俺の偏見だけで判断するわけにはいかないからさ、だから少しでも人間のこと知ろうと思って、「白矢クヲン」って名乗って、今、中学校ってやつに通ってるが……」
クヲンがそこまで話すと、そこでマリィが口を開いた。
「くをん?」
一言そう呟き、そして目を輝かせた。
「あなたの名前、初めて聞きました……はくやくをんさん……良いお名前ですね」
「そ、そういや名乗ってなかったな……わりぃ。あ~正確には「クヲン」だけだ。この世界じゃ名字ってのが必要だからな」
「はい! クヲンさん! 私はマリィです!」
「いや、お前の名前は知ってるんだけどな……」
今にも身を乗り出さんばかりの勢いのマリィに気圧されて、クヲンは狼狽する。
しかし、疑問点が一つ芽生えた。
「お前、俺が天使とか言ってるけど疑わないわけ? つか、普通引くだろ?」
「そうなんですか?」
「……いや、いい。俺が悪かった」
相変わらずのマリィの調子に、クヲンは目を逸らした。
それから数秒、沈黙で時が流れ、今度はマリィが口を開いた。
いつものようなおっとりとした口調には変わらないが、どこか懺悔を聞いている感じにクヲンは聞こえた。
「実は……私、悪魔なんです」
逸らした目が自然と元に戻る。
クヲンの瞳には、正座をするマリィの清楚で可憐な姿が映し出されていた。
「悪魔の役目は一人でも多くの人間を不幸にすること……。私はその教えに従って多くの人間を不幸にしてきました……」
天使であるクヲンとは正反対の行い。マリィの懺悔にも似た告白は続く。



