青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 一気に覚醒に導かれたセレビアは、パジャマ姿のままで戸を半分開いて様子を伺う。
 そこから見えたマレストの格好は、黒いとんがりハットに黒いローブ。
 魔法使いの戦闘服と呼ばれるものだった。

 そこには他に数人、その中にはあの老人もいて、それぞれ同じ格好を身に纏っていた。
 まるで示しあわせていたかのように一言二言話すと、一同は、夜の闇へと消えていく。

(どこへ行くのかしら?)

 セレビアの足は自然と外に出ていた。マレスト達に気づかれないようにと可能限り息と気配を殺して移動する。

 すると、辿り着いたのはいつもセレビアが森林浴や修行の場として使っている森の中だった。いつもは見慣れた森だが、それは昼間の話で、夜に来るのは初めてだ。
静まりかえっていると、あの心地いい空間が不気味に感じる。

 ふと、マレスト達が立ち止まったので、セレビアもつかず、離れずの距離で立ち止まる。
生い茂る木々から、まるでストーキングでもしているかのように覗き込むと、程なくして森の奥からもう一方の団体が現れた。

 彼らも同じく魔法使いの戦闘服姿だ。セレビアの位置からではよく見えないが、少なくとも数はマレスト達より少し多いのは分かった。

「よう! 早いじゃねぇか」

 まずは挨拶とばかりにマレストが切り出す。
向こう側の声は、セレビアに届くか届かないか曖昧な所なので、移動を試みようとしたが、気づかれても面倒なので渋々諦めた。

「……で、じーさんから話は聞いたけどよ、やっぱり考えは改める気はないってか?」

(考え?)

 セレビアなりに推理を巡らせるが材料が足りなさすぎる。マレストだけの話では限界はあるが、とりあえずは情報収集に専念しようと考えた。

「……何とか落ち着く。せめて妥協案はないのか? 元々穏健派じゃない俺が言えた義理じゃないが」

 その瞬間、場の空気が一変のがセレビアは全身で感じた。
向こう側の方が一気に殺気立ち、マレスト側にいる人達は焦りだしたのだ。察するにどうやらこれは穏健派と積極派による対立らしい。

 マレスト側が穏健派で、向こう側が積極派。どうやらマレストは助っ人を頼まれたかもしれない。

 そのマレストは動揺した素振りすら見せないが、内心焦っているのだろうか?