大気中の空気が凍るのと、酸素が奪い尽くされるのではないかと思われるくらい凄まじい魔法力だ。
高まる緊張感が何故だろう? この上なく焦っているのに、何故か楽しい。
セレビアはそんな不思議な高揚感に捉えられ、思わず笑みを溢す。
それに釣られるかのように彼女の炎もその巨大さを増し、更には師であるマレストをも越えると内心で「いける!」と確信した。
二つの巨大な魔法がぶつかり合うその時!
「あ、セレビア、ちょいタンマ!」
先程までの緊張感は何だったのかというくらいの軽い調子になったマレストは、氷魔法もいつの間にかかき消していて、セレビアの背後に歩みを進めた。
調子を狂わせながらもセレビアも炎をかき消して、マレストに倣い後ろを振り返と、白い口髭を生やした老人が立っていた。
見覚えはあるが、名前は思い出せない。
だが、そんなことよりも、せっかく師に勝てそうなくらいの炎だったにも関わらず、老人の乱入という結果でうやむやに終わってしまったことがセレビアにとっては悔しかった。
マレストはその老人と何やら話しているが、どうでも良かった。聞こえる距離でもないし、「聞くなよ」とマレストから釘を刺されていたのもある。
なにより興味がなかった。
結局15分程だろうか、その老人がマレストと話していたは。
セレビアは戯れに「何を話していたの?」訊いたが、「聞くなっていったろ」とゲンコツのオマケ付きで返されてしまった。
冗談のつもりだったので、よもやゲンコツで返されるとは思わなかったが、今思えばこれを貰ってでもしつこく聞いておくべきだと後にセレビアは後悔することを知る由もない。
そして、その日の夜―――
悲劇は起きた。
離れに暮らしていたセレビアは、その日は中々眠れずにいた。
風の吹く物音がやけに響き渡るが、それも「この季節になるとうるさいのよね」と思い直し、気にせず眠り続けようとする。
寝返りを繰り返す内にようやく眠りに落ちるか否か曖昧な所でガタッという隣から音が聞こえてきた。
マレストの寝屋からである。
(何事かしら?)
高まる緊張感が何故だろう? この上なく焦っているのに、何故か楽しい。
セレビアはそんな不思議な高揚感に捉えられ、思わず笑みを溢す。
それに釣られるかのように彼女の炎もその巨大さを増し、更には師であるマレストをも越えると内心で「いける!」と確信した。
二つの巨大な魔法がぶつかり合うその時!
「あ、セレビア、ちょいタンマ!」
先程までの緊張感は何だったのかというくらいの軽い調子になったマレストは、氷魔法もいつの間にかかき消していて、セレビアの背後に歩みを進めた。
調子を狂わせながらもセレビアも炎をかき消して、マレストに倣い後ろを振り返と、白い口髭を生やした老人が立っていた。
見覚えはあるが、名前は思い出せない。
だが、そんなことよりも、せっかく師に勝てそうなくらいの炎だったにも関わらず、老人の乱入という結果でうやむやに終わってしまったことがセレビアにとっては悔しかった。
マレストはその老人と何やら話しているが、どうでも良かった。聞こえる距離でもないし、「聞くなよ」とマレストから釘を刺されていたのもある。
なにより興味がなかった。
結局15分程だろうか、その老人がマレストと話していたは。
セレビアは戯れに「何を話していたの?」訊いたが、「聞くなっていったろ」とゲンコツのオマケ付きで返されてしまった。
冗談のつもりだったので、よもやゲンコツで返されるとは思わなかったが、今思えばこれを貰ってでもしつこく聞いておくべきだと後にセレビアは後悔することを知る由もない。
そして、その日の夜―――
悲劇は起きた。
離れに暮らしていたセレビアは、その日は中々眠れずにいた。
風の吹く物音がやけに響き渡るが、それも「この季節になるとうるさいのよね」と思い直し、気にせず眠り続けようとする。
寝返りを繰り返す内にようやく眠りに落ちるか否か曖昧な所でガタッという隣から音が聞こえてきた。
マレストの寝屋からである。
(何事かしら?)



