青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

 秋が終わり、冬に差し掛かってもマレストとの関係は相変わらずだった。

 生死を彷徨う程の実戦紛いのマレスト流スパルタ式訓練を日夜繰り返し、セレビアの体力と魔法力を一気に引き上げていった。

「遅ぇ! 敵は待っちゃくれぇねえぞ!」

「敵って、誰よ!?」

 マレストがニヤニヤ笑いながら魔法を繰り出すのに対し、必死にかわしながら問い返すセレビア。

 確かにこうも実戦紛いのことをしているが、実際、“実戦”にならないと殆んど意味はない。
 それは、魔法使い全体の悩みの一つだった。

 だから魔女裁判の時のような理不尽な迫害を今こそ思い知らせようとする“積極派”と、優れた能力だけを残せればそれで良いという“穏健派”が対立している状況だ。

 セレビアとマレストは共に穏健派に一応属している。“一応”という言葉を使っているのはその実、どちらにも属していないのが正しい。
ただ穏健派の方が、何かと危ない橋を渡らないで済むのではないかではないかというだけの話だ。

 このこともあってか、実は穏健派の方が多いのである。

 マレストも“敵”などと言っているが、実は楽観視していた。

―――敵なんかいなくても、魔法使いは生きていける………世の中そんなものさ!

 マレストが内心でいつも思っていることだ。弟子のセレビアの手前、そういったことは口が裂けようともできないが、心は穏健派に属しているといっても過言ではないかもしれない。

 そして、現実は実戦紛いに戻っていく。

「さぁ! 今日の総仕上げだ!」

 マレストが叫ぶ。
 両手には氷魔法を凝縮した白くてキラキラ光る雪のような結晶をセレビアに見せつける。
 思わず見いってしまいそうだが、恐るべき破壊力秘めた代物である。

「ちょっと、本気!?」

「安心しろ………チビッと手加減している!」

 そう言った側からマレストの氷魔法がさらに大きさを増す。

「ちょ!? 大きくなってるわよ!?」

「うるせぇ! こんだけ隙作ってやってんだ!いいから迎撃の準備しやがれ!」

 途端にセレビアの表情に焦りが生じる。師の目が本気であることが、肌で感じ始めたからだ。
 それでも何もしないよりはマシだと思い、人差し指で銃の形を作り炎のイメージを増幅させる。