「来た来た、じゃないわよ。その格好は何?」

「見てわかんねぇ? 天使だよ」

「天使・・・・・・ねぇ」

 セレビアが半信半疑だということは下から上までバッチリ見られている時点でハッキリしている。「第一、天使の輪がないんじゃ話にならないんじゃないの?」と、セレビアが言えば、「そんなものは、ただの迷信さ」と、返すクヲン。

 もちろん、自称ヒーローのジョーは最初から何の疑いも持たずに、クヲンを爽やか笑顔で見据えているだけだった。

 そして、仙太はというと。

「………」

 ただ一人、クヲンの腕の中で、“鍵”とじゃれつく空兎を、呆然とした様子で見つめていた。



  【No.5 完】