「大丈夫かな?」 「あれでしょ?大森のオーディション受けてからでしょ?」 「よっぽどきついこと言われたのかもしれないわね」 カメラマンさんやメイクさんが私を心配する。 オーディションには落ちた。 落ちて当たり前だと思った。 だって笑えなかったんだもん。 自分を出し切れなかったんだもん。 落ちて当然。 あの場にいれただけでも奇跡。 「恋くん、入りまーす」 ドキッ 恋くんの名前を聞いた瞬間、胸がドキっとした。