「彼には男としても女としてもいくつもの表情が出来る素質があるんだ。それはこの業界では結構めずらしくてね。そこに惹かれたんだ。うちのカメラマンは」
「…カメラマンさんは恋くんのこと認めてるんですか?」
「認めてなかったら今頃ここに呼んでない。ここだけの話だけどね、カメラマンは恋くんの男の部分も出そうとも考えてる。女としての表情を出し切るまでは無理だけどね」
知らなかった。
カメラマンさんは恋くんのことちゃんと見てた。
やっぱり生意気。
私は最低なモデルだ。
「すいませんでした!生意気なこと言って…本当にすいませんでした!」
「いやいや、謝らないで。恋くんと蜜子ちゃんって良いコンビだよね」
良い…コンビ?
私と恋くんが?
この人達にはそんな風に見えてるんだ…ってまだちゃんと会ったのは今日と一週間前だけなんだけどね。


