3番目の高度合成数。-年下のキミと-

「はい、お待たせ」

 マスターがカップを二つトレーに乗せると、大志くんが片方の口元を上げて、ニヤリ、と微笑んだ。


「田中さ~ん、日頃来てくださる感謝を込めて、マスターからのサービスで~す」

 そう言いながら、大志くんがさっきの年配の女性二人のところに戻っていく。


「えっ!? ちょっ」

 マスターがビックリした顔で大志くんの方に手を伸ばすけど、「あら、アスターありがとう」というお客さんの声が聞こえて、その手を引っ込めた。


「にゃろ。大志め~」

 マスターがこっそり大志くんを睨む。


「あはは、大志くん、悪戯っ子ですね」


 私が笑うと、マスターはヤレヤレ、と頭を振って呟いた。



「大志のやつ、逆恨みもいいところだよ……」


 何で逆恨みなんだろう? 聞いてみても、マスターは苦笑して誤魔化すだけだった。