「僕が払いますっ」
食事を済ませた後、大志くんが私から伝票を奪おうとする。
「高校生に払わせる社会人がどこにいるのよ」
「バイトしてるし、大丈夫です!!」
「まだひと月経ってないんだから、バイト代入ってないでしょ?」
「……っ。でも実句さんに奢ってもらうなんて嫌です!」
他のお客さんが変な顔して通り過ぎていく。
もう~! こんなことで言い合いするなんて初めてだよ!!
……こうなったら奥の手だ。
「大志くんに出してもらったら、気を使って二度と一緒に来れない」
「――そんなぁ!!」
大志くんが愕然とした顔をする。
それでもなかなか引かない大志くんとの攻防戦は、割勘でやっと落ち着いた。
大志くんってば意外に頑固なんだから!!

