ごめん、と手を引こうとした時、


 ――パクッ!!


 一瞬の差で、体を乗り出した大志くんがハンバーグを口に入れた。


 差し出した私がビックリしてしまうっ。


「ホントだ。美味しいですね」

 大志くんが口をモグモグさせている。



 私はホッと胸を撫で下ろした。


「良かった、失礼だったかと思った」

「え、何でですか?」

「朋くんはこういうの、凄い嫌がるから。特にこういう場所で」


 大志くんは口を動かすのをやめて、お冷をゴクリと飲み込む。


「ふぅん……。

僕は楽しいし、嬉しかったですよ?」

 大志くんはグラスを置くと、目を細めて言葉を続けた。


「相手によりますけど、ね」


 わざとゆっくり言うように。