「実句さん、何食べます?」

 ファミレスに着き、窓際のテーブル席に座ると、大志くんがメニューを私に向かって広げてくれた。


「うーん、パスタもいいけど、このミックスグリルもいいなぁ」

 大志くんも自分のメニューを見ながら、あれこれ思案している。


「あ~、ここのパスタ美味しいんだよね~」


 カルボナーラがどうとか、和風ハンバーグがどうとか、そんな話をしながらお互いのメニューを確認して注文した。


 男の子と一緒に自分で選ぶなんて、久しく忘れていた感覚だった。



 フフフッ、と思わず笑みが零れる。

「ファミレス、楽しいね」

 そう言うと大志くんは一瞬キョトンとしたあと、笑顔で「そうですね」と頷いた。