すっかり夕飯をご馳走になり帰ろうとすると、おじさんが見送りに来てくれた。

「実句ちゃん、今日はサポートありがとう。また今度、続き教えてくれるかな?」


 それって、またパソコン使ってくれるってことだよね?


「はい! もちろん」


 少しはパソコン毛嫌いが治ったのかも知れない。嬉しくて私は満面の笑みで答える。


 おじさんの後ろ姿を怪訝な様子で見ている大志くんと、ニコニコと嬉しそうに見ているおばさんが、対照的で面白かった。


 送ってくれるという大志くんをどうにか断り、タクシーを捕まえる。


 今日、おじさんと大志くん、話してくれるといいな。



 少しでも大志くんの役に立てたら嬉しい。


 車窓に映る自分が微笑んでいる。


 本当は今日、怒られたらどうしようとか、伝わらなかったらどうしようとか、色々不安だった。

 でも、動き出した自分を止められなかった。



 誰かのために動きたい、こんな気持ちになったのは、初めてだった……。