「こんな値を出したいときは、どうするんだい?」


 十五分ほど触っていると、おじさんから質問が出てくるほどになった。興味を持ってくれたなんて、凄い進歩。


「そういう時は、まずここを出してから、ここのボタンです」

「ふむ」

 意外に呑み込みが早いおじさんに驚きながら、説明するのが楽しくなっていた。


 やっぱり私、こういうサポートの仕事が好きだ。改めて実感してしまう。



『ドサッ』



 何かが落ちた音におじさんと二人で振り向くと、呆気にとられた大志くんが、カバンを落としてこちらを見ていた。