でも、無理もないか……。
"お父さんを殴った"というのだから。
"親"を殴ってしまうって、どういうことだろう。
どんな気持ちだろう。
――考えるまでもない。
痛くて痛くて、堪らないはずだ。
殴った手なんかよりずっと、気持ちの方が痛くて痛くて……。
見ると、大志くんの手が、少し震えてるみたいだった。
缶を握る右手の、その上から自分の左手を重ねる。
大志くんの動きが止まったけど、やがて私の手をとって、指を絡めて握った。
恋人繋ぎみたいだけど、伝わってくるのはそういう甘いものじゃなくて、切実そうな願いみたいな空気だった。
何とかしてあげたい……。
今はとにかく傍にいることしかできないけど、このまま大志くんが落ち着くまで、何時間だってここに居ようと思った。

