「なんだよ、つれねーなー」

 睨まれるのはいつものことなのか、谷口と呼ばれた子はヘラヘラと笑っている。


「お前みたいなアホと友達と思われたくな――」


 怖い顔をしていた大志くんが、ポカンと口を開けたまま固まる。



 目、ばっちり合っちゃった……。



「ん? どした?」

 もう一人の子が大志くんの視線を追ってこちらを見る。

 わわっ、と思わず目を逸らした。


 ごめん、大志くんっ。


 心の中で謝る。

 高校生くらいだと、友達と一緒のときのこういう遭遇、嫌だよね。


 朋くんだって、会社の人と一緒だったら絶対無視しなくてはいけない。




 必死に知らない振りをしていると、目の前に影ができた。

 見上げると、大志くんが立っている……。