「あ、マフラーありがとう」


 自分に巻かれていたマフラーを取り、大志くんの首に巻き付ける。


 大志くんは一瞬驚いた顔をして身を任せていたけど、私が離れるとキュッとマフラーを握り締めた。


 そして顔を埋める。


 さっきまで私が巻いていたマフラーに、――愛おしそうに。



「ちょっ……」


 カァァ……。


 私が一気に顔を赤くすると、大志くんがバツが悪そうに、はにかんだ。


 
「ごめんなさい、つい」


 つ、ついって~!!



「それじゃぁ、また」


 追求を逃れるように一歩下がった大志くんに見送られて、私は自分の部屋へと戻る。




 左の手のひらが、やけに寂しい反面、顔が綻ぶ(ほころぶ)のを止められなかった。