『悪い。それ、急ぎの用事? 何か緊急のことなら聞くけど』


「あぁ、ごめん。じゃぁ、いい。またね」

『……またな』

 プッ、と切られた音。


 
 忙しいんだから仕方ないの。

 営業さんに終業時間なんてない。




 けど。




 ねぇ、朋くん。最後に無駄話したのって、いつだっけ?




 デニムタックジャケットのポケットに携帯をしまい、今日の夕飯はステーキ肉でも買っちゃおう、と決意した。