図書館を出ると、何と、さっきの赤いシュシュの子が道路の向こうで立っていた。誰かと電話をしていて、まだ私たちの姿には気が付いてないようだ。




「……」


 大志くんが口を一文字に結んで道路の向こうを見ている。


「行っていいよ?」

 そう声を掛けると、大志くんが驚いたように声を上げた。

「え……!?」



「彼女なんでしょ?」


 大志くんは困ったように眉間に皺を寄せる。


「えぇ……まぁ……一応」

 そう言って下を向いてしまう。


「一応って何よ、同級生?」

 私は笑いながらトン、と大志くんの腕を押した。


 ビクリとした大志くんが下を向いたまま頷く。

「はい……」

「なーに、照れちゃってるの」

 また笑いながら大志くんの肩を叩いた。