ゆっくり百数えてから、恐る恐る見ると、もう二人はロビーにいなかった。



 中に戻ると、席に座っていた大志くんが安堵の表情を浮かべる。


「良かった……どこか行ってたんですか?」


 心配そうに見つめてくる大志くんと目を合わせれない。


「あー、二階で休憩してたの……」


 つい目を逸らしてしまった。



 さっきの光景を必死で頭から追い出そうとするけど、うまくいかない。


 時計を見ると、来てから二時間が経っていた。


「ごめん……そろそろ、帰らない?」


 私が言うと、大志くんは「あぁ」と声を漏らす。


「そうですよね、いきなり根詰めたらダメですよね」


 そう言ってサッと荷物をまとめた。


 別に疲れてたわけじゃないけど、今日はもう無理だ……。