あたしがいる意味をこの世界で見つける…。
それでも誰かはあたしの存在を否定するのでしょう?
それでもいいよ。
それでもいい。
誰か1人でもいいの。
認めてくれれば。
それだけであたしは少しだけ強くなれる気がするから。
「香子さん、あたしちょっと外出てくるよ。大丈夫、すぐに戻るから…」
冷たい風が頬から全身を撫でる。
漆黒の空に目を向けた。
思うことはいつだって同じ。
これは、この空は、あたしなんだよ。
あたし以外には誰も知らないあたしが、この空なんだよ。
誰も知らなくていいよ。
何も知らなくていいよ。
そう、そのまま。
そのまま、あなたのいる世界に帰ればいい。
ここには来なかったかのようにすればいいの。

