「亮君…」
「早かったじゃん」
「あ、あたしね、亮君に言いたいことがあるの…」
「いいよ?」
これから何が起こるかもわからずに笑顔をつくる亮君を見てると切なくなる。
でも、言わなくちゃいけないこともあるんだよ。
「…亮君、あたし桜井翼。わかる?」
亮君はこんな問いかけをしたあたしに不思議な顔ひとつせずに『わかるよ』と言ってくれた。
「じゃあ、4年前の桜井…翼。…わかる?」
夕方でも亮君の顔が青ざめていくのがわかる。
そんなに、思い出したくない過去だったの?
「翼…、その事、どこで…?」
「香子さんにきいた。ねぇ、4年前の桜井翼、知ってるよね…?」
「…知ってる。よく知ってる」
隠し事、あったじゃん。
「あたしは、全く知らなかった。亮君のことも疑ったりもしなかった!
こんなに深い関係があったなんて、あたし…!知らなかったんだよ!?」
髪をかきあげて唇を噛みしめうつむく亮君。
どうして何も言ってくれないの?
やっぱりあたしはお荷物?
亮君にとってはあたしはただの親の罪滅ぼしなの?

