「あなたのお母さん、陽子姉さんはね…多一さんと翼のこと、とっても大好きだったのよ。
もちろん今も大好きよ」




『多一さん』それは、桜井多一(サクライタイチ)。

あたしのお父さんの名前。


カッコよくて、休みの日は遊んでくれた。


まだ記憶に残ってるよ。



「翼が産まれたときはどっちも本当に親バカで陽子姉さんなんか翼が笑う度に自慢してきたのよ?」



お母さんが笑ってあたしを抱っこする様子が浮かぶ。


もう1度だけでいいからお母さんに抱っこされたいよ。


もう1度だけお母さんの温もりを感じたい。