待受画面は初期設定のままモノクロのつまらない時計。



もっと色をつけたい、携帯にもまだ知らない色があるだろう。


知らない景色があるだろう。



あたしは窓を開けカメラ設定にした携帯を空に近づけた。



「こんなに空は遠いんだよ」



誰にも届かない、サラリーマンは鮮やかな空色になんの汚れもない白い雲が浮いてるのを見るだけで1日の勇気をもらい、主婦は空をながめ、学生はその空に両手を広げて幼い子供はそのもとで元気一杯に遊ぶ。




この世界に住む人々は誰1人として同一である人物なんていない、そんなあたし達に共通するのは“同じ空を見上げてる”たったこれだけ。



たったこれだけがこの世界にいる人と心を繋がれる…。