「ごめん、風見君―…」 「亮でいいよ。何で謝んの?」 とどめですか? もう無理だよ。 「ごめん、亮君、おやすみ!」 原っぱに置いた靴たちを拾い上げ裸足のまま一目散に暗い草の間を駆け抜けた。 いつの間にか戻ってきていた、水沢家。 表札の文字、お母さんの旧姓。 くぼみに沿って水沢の文字をなぞる。 お母さんのいたこの家、お母さんの育った家。