another spiral


絞り出せた言葉

…俺馬鹿か?
名前名乗らずに何口走ってんだ?


一発目からの失敗に軽く落ち込んでいると、受話器から驚きの声が上がった。

『陸斗…?』

その言葉に俺は一瞬肩を震わせる。

「あぁ…。」

覚えててくれたのか…

「久し振り…元気?」

14年ぶりの会話に、何故か緊張する…

「えぇ…元気よ。」

何も変わってないな…

今なら、俺の気持ち全て言える気がする


「あのさ、俺明日学園を卒業するんだ。それで、良かったら『えっーー?』

興奮で高鳴る俺の言葉を遮って、母親は声を上げた。

『あなた、学園を卒業するの…?』