いつから聞いていたんだろう?
そっと近づく良明くんは、紙パックに入ったイチゴ牛乳を麻実ちゃんに渡した。


「ぬるくなったからお前にやる」

「ちょっ…ぬるいのなんて要らないんだけど」

「いいからお前は黙って飲んどけ。
で、美和ちゃん…俺と付き合わない?」


麻実ちゃんと紙パックをやり取りしながら私を見る良明くん。
顔は真剣そのものだ。


「…あんたね、昨日の今日なのに何言ってんの?
ほんっと馬鹿なんだから」


呆れる麻実ちゃんは今までで一番強く紙パックを良明くんに押し付けた。


「俺はいつだって本気そのものだっつーの」


受け取った紙パックにストローで穴を開け、そのまま麻実ちゃんにくわえさせる。
中身は本当にぬるいみたいで、麻実ちゃんはあまり美味しくなさそうな顔をした。

良明くんの言葉は真剣なんだろうけど…そんな二人のやり取りを見ていたら笑みがこぼれてしまう。


「二人とも、仲が良いんだね」