それから数分して、学校に到着。
歩いたら大変な距離だけど、やっぱり車は速い。


「じゃあ勉強しっかりな」


車から降りた私に、わざわざ窓を開けて声をかけてくれるお兄ちゃん。
風に揺れる髪が太陽の光を受けて少しだけ茶色く見える。


「ありがとう。お兄ちゃんも仕事ファイトだよ!」

「おう、任せとけ」


いつもと同じように笑い合い、お兄ちゃんは車を発進させる。
車はすぐそこの角を曲がるから、あっという間に見えなくなる。

それでも私は、少しの間そこに立って道路を見つめた。