周りには私たち以外誰も居なくて、とても静かに感じた。

良明くんはそこで私を見つめ、それから深く頭を下げた。


「昨日はごめん。
許してくれるとは思ってないけれど、でも…聞いて欲しい」


良明くんも覚悟を決めて今日を迎えたんだ。だから私は頭を下げる良明くんを静かに見つめた。


「あいつは…ミキは本当に元カノなんだ。年は3つ上。
ミキに頼まれて、“体だけの関係”を続けていたんだ」

「………」


…体の関係。
それって…セックスフレンド…?


「…俺はずっと“それ”を続けていた。
だからミキは、俺とまだ付き合ってるつもりでいたらしい」


ミキさんは確かに良明くんのことを…元カレとは思ってないみたいだった。


「黙っててごめん」


ずっと頭を下げてる良明くん。
私の言葉を待っているみたいだけど…上手く話せない。


(体の関係…セックス、フレンド…)


別れた人と、体の関係だけを続ける。そんなこと出来るの?
そんなこと…私は出来ないよ。

ずっと仲良くやってきた良明くん。だけど今は、キモチワルイとしか感じない…。


「…俺、美和ちゃんと“エッチ出来ればいいや”って最初は思ってた。
だから付き合うってなった時、すげーラッキーだと思った」


何も言えない私に良明くんは言う。
既に頭は上がっていて、私のことを真っ直ぐに見ている。


「だけど一緒に居て、たくさん話をして…どんどん美和ちゃんに惹かれてった。
エッチして終わりなんて嫌だ。ずっと傍に居たい、守りたい。そう思ったんだ」


…どうして?
そう思ったならどうして――。


「――どうしてミキさんと関係を続けていたの?
私のこと、そう思ってくれていたなら…体だけの関係なんて断れたはずだよ…」


なのに、どうして続けていたの…?


「美和ちゃんを守る為だよ…だから俺はミキと会っていた」


…なんなのそれ。
意味がわからない…。