幼なじみは年の差7歳【完全版】



相変わらず周りには数組のカップル。
手を繋いでいたり、男の人が女の人の肩を抱いたり、それぞれのスタイルで街を眺めている。


「綺麗だね」


街は昼から夜へと姿を変える。

たくさんの人たちが暮らす街。
良明くんはまだミキさんと一緒に居るのかな…。


「………」


明日になれば私は良明くんと話さなきゃいけない。
幸せだった日々にサヨナラしなくちゃいけない。

やっぱり…ツラい。


「あ…ねぇ、どうしてメイク落としなんて持ってたの?」


だけど今は、冬馬兄ちゃんが隣に居る。
そのお兄ちゃんに心配なんてかけないから…明るく聞いてみる。


「実は女装趣味があってだな…いや、嘘だって。そんな目で俺を見るなよ。
あのね、会社のおばちゃんに“彼女にあげたら”って山ほど貰ったんだ」


“女装趣味”に顔をしかめた私に苦笑しながら言う。
それからタバコに火をつけて、言葉を続けた。


「…それを渡す為だけに美和の家に行ったら迷惑かなと思って。
かと言って、他に渡す人なんて…居ないし、ね」


そう言った冬馬兄ちゃんは、私から視線を外して遠くを見つめる。


「迷惑なんかじゃないよ。
…ごめんね」


私が勝手に避けていたから、冬馬兄ちゃんも私を避けていた。
自分が決めて進んだ道。だけど、今は後悔ばかりが心を苦しめる。


「………」


冬馬兄ちゃんは何も言わない。今、何を考えているのだろう?
馬鹿な私を、どう思っているんだろう?