……。

私、良明くんのこと好きだった。
ちょっと強引で、ついて行けないところもあったけど…それでも好きだった。

誕生日プレゼント、良明くんの喜んだ顔…見たかったな…。
「ありがとう」って笑顔で言って欲しかったな…。



――……。


一時間ほど走った車は、山の中腹にある展望スペースに止まった。
街とその向こうにある海とを一望出来るこの場所は、カップルたちのデートスポットになってる。

私たちの他にも車が数台止まっていて、外に出て景色を眺める人や、車の中で話をしながら眺める人…色々だ。


「美和、ちょっとこっち向いて」


理由を聞く間もなく近付く冬馬兄ちゃんの顔。そして――。


「――ッ」


“それ”が何なのか気付くのに、そう時間はかからなかった。