「………」


黙ったまま私の頭を撫でた後、冬馬兄ちゃんは車のエンジンをかけた。


(…良明くん、私のこと大事にしてくれてたのにな)


遠くを見ながら、良明くんへのプレゼントが入ったカバンを握り締めた。
無駄になるかもしれないプレゼント。渡せないままになるかもしれないプレゼント。


「…ちょっと泣きそう。
化粧取れて変な顔になっても笑わないでね?」


無理矢理作った笑顔でなんとか涙を我慢する。


「泣いてもいいよ。外には聞こえないから。
落ち着くまで車走らせるから、好きなくらい泣いていい」


冬馬兄ちゃんの言葉が私の心を癒してくれる。
いつも優しい冬馬兄ちゃん。ずっとずっと、私の味方で居てくれた冬馬兄ちゃん。
これから先もきっとずっと、私の味方で居てくれる。


「…ありがとう。ごめんね」


溢れ出す涙を止めることが出来ない。
だけど、「それでもいい」と言ってくれる冬馬兄ちゃん。

その手はいつまでもいつまでも、私の頭を優しく撫でてくれた。