「良明のクラスメート?」


私より年上の女性。
派手な服に濃い化粧、盛りに盛った茶色い髪。
だけどそれをバッチリ決めている、綺麗な人…。
私とは正反対の女性。


「いや、クラスメートじゃないけれど…でも…」


目を泳がせる良明くん。
きっとこの女性のことを、私には知られたくなかったんだろう。

“そういう関係”なんだ、この二人は。


「私たちこれから食事なんですけど、一緒の席いいですかぁ?」


女性は私と良明くんのことなんて全く気にしていなくて、私たちの返事を聞く前に冬馬兄ちゃんの横に座った。

戸惑いながらも、良明くんは私の隣へ…。
何か言いたそうな顔をしたけれど、結局何も言わなかった。


(…なんなの、これ)


隣に居るのは間違いなく良明くん。じゃあこの女性は、誰…?

冬馬兄ちゃんはタバコを取り出して火をつける。
その視線はずっと良明くん…冬馬兄ちゃんは今、何を考えているんだろう?

冬馬兄ちゃんの視線に応えるように、良明くんが口を開いた。


「“コレ”は、俺の元カノで…名前はミキ。
今日、たまたま…会って…それで…」


ミキさんを見ながらの言葉は尻すぼみで、最後はよく聞こえなかった。
それを、ミキさんは否定しながら言う。


「元カノじゃなくて今カノ!私別れたつもり無いもん。
私たちね、ホテルの帰りなの」


ひそ、っと言ったミキさんの笑顔と香水のニオイにめまいがする。